オーブン料理への道のり

2024年の目標のひとつに「オーブン料理をする」というのがあった。

一昨年末だったか、それまでずっと使っていたシンプルな電子レンジが突如壊れた。我が家では息子の食事に出す米をある程度まとまった量炊いて冷凍し、都度レンジで解凍して出している。弁当も然り。レンジという名の米解凍機と言っても過言ではないのだが、用途がシンプルすぎるとはいえ、稼働しない状況は致命的。即家電量販店に赴いた。

そうしたら、それまで使っていたレンジはすでに製造をやめていたことがわかった。レンジはシンプルにレンジ機能だけでいいよ〜と思っていたが、店頭にある他のシンプルなレンジは、とにかくデザインが好みではないものばかり。これならいいかもと思えたのがオーブン機能のあるレンジだった。

お店の方も相談に乗ってくれたが、用途はなんですかという問いに「米の解凍です」と答える私に対し、オーブンレンジは不要でしょうという見解を示してくれた。お値段も張りますし。まったくもって同意見なのだけど、私は何よりもデザインが好みでない家電を家に置きたくない人間なのだな、とそのとき知った。で、結局オーブンレンジを買った。

せっかく買ったのだからと、付属の説明書についていたオーブンの使い方やレシピを見て、チキンを焼いたり餃子を焼いたりしてみたのだけど、たいして美味しくない。時間がかかる割にこれなのか……結局ガスオーブンじゃないから限界があるってことなのかな……と難しさを実感し、以後基本、米の解凍機としての使用が続いた。

ところで私はレシピ本が好きなのだけど、「これはオーブンを使う料理だから私には関係ないな」とスルーしてしまうページがある。何をきっかけにか忘れたけど、やっぱりせっかくオーブンレンジがあるのだから、オーブン料理、もうちょっと頑張ってみてもいいんじゃないか?と思った。2023年を経て。

2024年になり、まずオーブン対応のバーミキュラのフライパンを買った。そしてグラタン皿とクッキー型を買った。グラタン皿は、オーブン料理するならグラタンでしょ!という気持ちで。最初、非常にイマイチだったけれども、具材の火入れやバランスを考えて作れば結構美味しくなるということがわかってきた。クッキーは最初軽い気持ちで、息子のホワイトデーに手作りしたらいいんじゃないか?と思い、100円ショップで道具を揃えたところ、意外とうまくいってしまった。フライパンはまだオーブン料理に使っていないが、グラタンとクッキーを経て、タンドリーチキンやマドレーヌなどにもトライするようになった。

完璧なものとは程遠い仕上がりでも、その反省点を次に活かせそうだし、何よりオーブンレンジとの距離がぐっと縮まった。オーブン料理に入ってしまうと米の解凍ができないのがネックだが、それを差し引いてもじゅうぶんに充実感がある。もっともっと、オーブンレンジで色々作ってみたいと思えるようになってきた。

のみならず、焼き菓子が意外と簡単にできてしまうのだということがわかったのもよかった。クッキー、マドレーヌ、ホットケーキあたりは、小麦粉やベーキングパウダー、無塩バターがあれば、常備している食材でじゅうぶん作れるのだとわかり、先日はなんとパウンドケーキの型まで買ってしまった(料理にも使えるようにガラス皿にしたが)。お菓子を作ることに興味を持つのなんて、はっきりいって人生初のことである。特に極めたりすることはないと思うが、こんな簡単に、混ぜて焼くだけで、このレベルのものは作れるんだということがわかっただけでも、かなりの儲け物である。何事もやってみるものだなぁと思うし、あのときオーブンレンジを選んだ自分に、いいよ大丈夫だよ役に立ってるよ、と伝えたい。これからもっともっと距離を縮めて、いろいろな料理を作ってみたい。

© 2023 AYANA