aespa大好きおばさん

8月6日、日曜日。
aespaの東京ドーム公演『aespa LIVE TOUR 2023 ‘SYNK : HYPER LINE’ in JAPAN』へ。

私のaespa熱が最高潮だったのは去年4月のコーチェラ出演のあたりではないかと思う。その後日本でショーケースが行われ、とっても行きたかったがチケットは取れなかった。そして8月下旬のSMTOWN LIVE 2022 : SMCU EXPRESS@TOKYOで初めてaespaを見たけれど、正直タージマハルの現物を目にしたときと同じというか、画面で見てるaespaがそこに居るだけって印象でそこまでの感動はなかった。私はaespaの制作物が大好きで、リリースされると基本的に全形態購入してるのだけど、7月に出た2ndミニアルバム『Girls』も、主にビジュアルにおける世界観としてそこまで大きな変化がなく、なんか色々aespa熱が失速してしまったのを覚えている。

ただ今年5月に出た3rdの『MY WORLD』はすごく良かった(制作物として)。K-POPの世界に触れて3年も経つと、だいたい打ち出し方の流行や手数などが把握できるようになってきてしまっているのだけど、aespaらしさを確実に進化させて「aespaっていつもこうだよね」って感じでもなく「aespaがこんなことをやるなんて意外すぎる」って感じでもなく……とにかくaespaにしかできない新しい何か、という感じだった。

だから今回のドームも、チケット取るほどではなかったんだけど友人が誘ってくれて、それなら行こうかな、新譜も良かったしという感じで。ただ3年目、何がなんでもK-POPを生活のなかで優先するという感じでもなくなり、息子や猫のことも色々あり、ENHYPENのカムバもあり等々、熱量が分散されていてそこまで予習することもなく、かろうじてペンラだけ買って行きました。

いや〜最高でしたね。aespa最高!!!!!
見事にaespa大好きおばさんとなって帰還しました。おばさんというのは「aespaの良さについて語りたがるめんどくさい人」の意味で使ってまして、本当はおじさんと書きたい感じなんですがまあ私はおじさんではなくおばさんなので。性別的に。

なんだろう、まず曲が良い。そこまで聴き込んでいなかった自分を反省。なんだけど、音源より圧倒的にライブのほうが曲がよかった。アレンジや構成がちょっと変わっていて、すごくライブ向きになってると申しますか。要所要所にハードロックのニュアンスが入ってるんだけど、それがキッチュでaespaに超合ってる。

正直、東京ドームという広い会場をあの細っこい4人の女の子がどう「持たせる」のか?というのが謎だったのですがまったく心配いらなかった。ド派手というわけでもなく、でも映像の使い方やムービングステージの動かし方が素晴らしく、会場がジュリアナ東京みたいになってたと申しますか。観客も男性が多くて(半々は言い過ぎだけどかなりいた)彼らが腹から声を出しているため歓声もものすごく、掛け声もサークルの飲み会とかホストクラブみたいな雰囲気というか。どっちも行ったことないですけど。

何よりaespaのすごいところは、「うまい」「ヘタ」の領域にいないということだなと思った。ダンスがめちゃくちゃ揃ってる群舞みたいな技巧的タイプでも、パワーで圧倒するタイプでもなく、かといってプロデューサーのお人形的なプラスティックアイドルという感じでもなく、一生懸命だけどどこか飄々としていて、4人のキャラも立っていて、本当に感動してしまった。全員スキルがあるのはもちろんのことね。

私は「切なさ」という世界観に弱いんだけど、aespaにはどこか切なさや儚さがある。メロディもそうだし、彼女たちの存在自体にも。それが強烈なねじれのようなものと共にあり、aespaの世界を強力に補完していると感じた。正直アバターやブラックマンバ、KWANGYA、ナビスなどaespaを構築するストーリーはなにひとつ理解していないんだけど、初期はなんとなくキワモノ感のあったそれらの空気も、普通になじんでそこにあるというか、たいしたことじゃないんで、みたいな感じというか。

ずっと内永さんが推しだと思ってたのだけど、今回の公演でカリナがめちゃくちゃ好きになってしまった。ちょっとテヨン(NCT)を好きな感じと似ていて、夢中になるっていうよりリスペクトの念が強い好き。この世界観、このメンバーたちと作り上げるaespaワールドをまとめる、最も常識人という感じがあった。

時代なのか、K-POP独特のものなのか、あるいはその両方なのかもしれないけど、何かを好きと表明する際に、そのリテラシーやモラル、哲学、そんなようなものが問われる機会が多いと勝手に思っており、でもaespaってそういう世界からも遠く離れている感じがあり、もうなんか本当に安心して好きでいられるグループだなと。本当に行けてよかったし、誘ってくれた友人に心から感謝したい。

© 2023 AYANA