思考の少し先

過去の自分のレビューを見ていて思い出したというか、しみじみ思うことがあるのだけれども、私はこうして気持ちや考えを文章にするとき、自分の思考スピードよりも少しだけ早く文字が現れるという感覚に陥ることがある。特に何か、昔よくやっていた音楽や美術の展示や本や映画や……そういったものから自分が何を受けとったのか?自分はそれに触れることでどのようなもの(感情、論理)を抱いていると気付かされたのか?などなどについて書くとき、書き終わってから「そうか、自分はこんなふうに思ってたんだ」みたいに、後から辻褄があうということがある。

これは私がいかに適当な人間か、ということを証明するひとつの事象のようなものに過ぎないのかもしれない。けれどこれらの瞬間に(思考の少し先にある文章たちに)助けられたことが多くあるのは確かだ。そして今、流れていってしまうコンテンツに時間を割きすぎていて、このように丁寧にひとつの作品に向きあってレビューをまとめるようなことが圧倒的にできておらず、それは自分にとってかなりの損失であると感じる。SNSのせいだけではない。向き合う体力が落ちてもいる。今年は少し丁寧に向き合い、所感を残したい。もしかしたら何かひとつSNSをやめたほうがいいのかもしれない。

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